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2023/05/20コラム

研究成果を挙げるという観点だけでなく。

毎月の恒例となっている、値上げ報道。
現在、旬な値上げのニュースと言えば、『家庭向け電気料金』でしょうか?
皆さまもご存じのとおり、令和5年6月1日より電気料金が15%〜39%程値上げされますが、
電気代の高騰は、企業や医療機関、教育機関にも影響しており、
昨年の10月には 名古屋大学の電気代が 昨年と比べて10億円以上跳ね上がり、
スーパーコンピューター『不老』を一部停止させるというニュースが、世間を騒がせました。

※「不老」は、国立7大学のスパコンで、台風の構造の解析や、津波の浸水域、医療で使われる画像の解析につながる計算など、
  私たちの暮らしに直結する研究に役立っているといいます。
  ちなみに国立7大学 とは所謂『旧七帝大』です。→ 北海道大学・東北大学・東京大学・名古屋大学・京都大学・大阪大学・九州大学

電気料金値上げの主な理由として、ウクライナ危機の影響で燃料が高騰しているのに加えて、
円安で燃料の調達コストが増加していることが挙げられますが、
私が気になったのは、名古屋大学が契約していた 割安な新電力会社が契約途中で撤退し電気供給停止となったこと。
詳しい契約内容は分かりませんが、エネルギー価格高騰により、安い料金で電気を供給することができなくなったのでしょうね。

という訳で、上記に述べたような電気料金上昇に加え、新電力よりも割高な電気会社と契約したため、
名古屋大学の電気料金が約2倍に跳ね上がり、(年間の電気料金10億8千万円が → 年間23億4千万円)『不老』が一部停止となったんですね。
※電気代は追加予算で5億円補填しています。
西田井地
【画像は西田井地アルバタウン7号地の太陽光発電システム→『ちょっと広めの空間生活』】

勿論、名古屋大学(国立の運営は公共予算なので特に話題になりやすい)だけではなく、大学によっては、ピアノを売却したり、
図書館の開館時間を短縮したり、理系の大学は冷蔵設備や高温施設の研究施設を一部停止したり・・・悪戦苦闘しております。
今回のような件で、一番問題視しているのは『研究の低下につながる』ことではないでしょうか?
特に、国立大学は教育・研究機関であることから、施設の維持管理は大学の本来の役割を果たす上で大変重要であり、
長い目でみると、日本の医療・産業・技術の衰退を招く懸念があり、国際競争力低下にもつながる重要な問題だと思うのです。

そして、電気料金の高騰は学生さんの負担も増えてしまいますね。
授業料は上がらなくとも、施設設備維持費系(図書館、食堂、研究施設など利用するので)は値上げせざるを得ない状況なのです。
ちなみに国以外からの資金調達の財源の内訳として最も多いのが卒業生や企業からの寄付金であり、
それに次いで自治体からの補助や基金なんだそうです。

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